革の個性と魅力を知る。イタリア マストロット社
Gruppo Mastrotto Italy
このページに書いてあること
- ローマ帝国から続く革の歴史:イタリアンレザーのルーツ
- マストロット社:革新と伝統の融合
- セミアニリン仕上げ:革の経年変化を楽しむ
ローマ帝国から続く革の歴史
イタリアンレザーのルーツ
はじめに
イタリアンレザーは、その卓越した品質と美しさで知られ、世界中で愛されています。ブライドルレザーやコードバンと並んで“世界三大レザー”のひとつに数えられ、その魅力はどのようにして生まれたのでしょうか?今回は、イタリアンレザーの歴史、特徴、そしてそれを支えるマストロット社の取り組みについてご紹介します。
イタリアンレザーの起源
イタリアンレザーの歴史は、ローマ帝国時代まで遡ります。紀元前753年に建国されたローマ帝国は、ヨーロッパ全域を支配する中で皮革産業を発展させました。ローマ軍の装備品である靴や盾には大量の革が使用され、それにより皮革の需要が増大。これが国内の皮革産業を進化させる契機となりました。
当時、ローマ市内にはすでにいくつかの革屋が存在しており、その技術とノウハウは後のイタリアンレザーの基盤となっています。ローマ帝国が築いた皮革文化は、今日のイタリアンレザーの高品質に通じる源流と言えるでしょう。
豊かな土壌が育む美しさ
イタリアンレザーは、イタリア国内で生産される高品質な牛革を指します。その秘密は、ヨーロッパの広大な土地でのびのびと育った牛にあります。特にフランス産の原皮は、豊かな土壌がもたらす栄養と自然環境により、革に美しい表情を与えます。
MASTROTTO社では、こうしたフランス産の原皮を使用し、最高品質の革を生産しています。原皮そのものの良さに加え、イタリア独自の技術が加わることで、唯一無二の美しさと耐久性を持つレザーが生み出されています。
革新と伝統の融合
MASTROTTO社の取り組み
1958年にイタリアのヴィチェンツァで創業したMASTROTTO社は、イタリア国内最大規模のタンナーとして知られています。同社は世界中に18か所の工場を持ち、2,400名以上の従業員を擁し、家具、靴、革製品、自動車、船舶、航空産業など幅広い分野で革を供給しています。
特に高級車のシートやハンドルに採用されることで、その品質の高さが証明されています。同社の製品は、伝統的な技術と最先端のテクノロジーが見事に融合しており、イタリアンレザーの名声をさらに高めています。
トレンドを牽引するデザイン性
MASTROTTO社は、ハイブランドのデザイナーと連携し、トレンドを先取りしたデザインや色彩を生み出す“デザインラボ”を設置しています。職人技と機械制御を組み合わせた生産体制により、大量生産でありながら高品質な製品を提供しています。
これにより、機能性とファッション性を兼ね備えたレザーアイテムが次々と誕生。イタリアンレザーの魅力をさらに広げています。
環境への配慮
世界的な有名ブランドが数多く加盟する、レザー業界の国際環境団体〈レザーワーキンググループ(以下LWG)〉。 その最高位であるゴールドランク認証をMASTROTTO社は取得しています。
長年にわたりマストロット社は、皮革加工の環境や従業員への影響を削減するため、多様な投資をしてきていました。水性仕上げの工程の実施や浄化プラントの建設、総電力3,100 kW(1,000以上のアパートの電力に相当)の4つのコージェネレーションプラントによるCO2排出量の削減などの環境・従業員への配慮が実現しました。
セミアニリン仕上げ
革の経年変化を楽しむ
セミアニリン仕上げは、革の高級感を維持しながら、実用性を高める技術です。透明感のある薄い塗膜をコーティングすることで、革本来の自然な美しさを残しつつ、直射日光や高温、寒さ、雨、擦れなどへの耐性を高めています。
さらに、MASTROTTO社の革には牛が生きていた頃の傷やシワ、虫刺されの跡などがそのまま残されており、それが本革ならではの個性と魅力を生み出しています。こうした特徴は、使い込むほどに深まるエイジング(経年変化)の楽しさを提供してくれます。